性表現、少女漫画家が開いた扉

国連はこのところ、暴力的なポルノ表現や児童ポルノを含むと日本の漫画を問題視してきた。女子差別撤廃委員会の報告書は、
「日本ではポルノ、ビデオ、ゲーム、漫画などアニメが、女性や少女への性的暴力を推進している」と指摘。国連特別報告者は日本を「バーチャルな子どもを性的搾取する表現の主要製造国」と呼んだという。
日本の漫画にとって画期的な作品、「風と木の詩」の連載が始まったのは1976年。作者の武宮さんは26歳だったそうだ。19世紀フランスの寄宿学校を舞台にした物語は、裸で横たわる少年2人の絵で始まる。性行為の後の姿だ。
小学館の少女漫画誌に週刊連載された「風と木の詩」はあらゆるタブーを正面から取り上げ、次々と打ち破っていった。
「当時は世界、世間そのものが大きく開こうとした時期でした。自由への謳歌というものがすごくあった時期です。なので、たとえば愛することに壁はないんだという、それが対象が女性だろうと男性だろうと老人だろうと、とても若い人であろうと、そこに愛というものが育ちうるということを描きたかった」と竹宮さんは創作の動機を振り返る。
当時の少女漫画にはあからさまな性描写などないに等しかった。その状況で編集者に連載を認めてもらうために、竹宮さんはまず別の連載を成功させて人気作家としての地位を確立し、リスクを取るだけの価値が自分にはあると編集者を説得することにしたという。物語の着想から実際に連載開始までには、実に6年かかったそうだ。
自分の挑戦によって、日本の漫画における性表現の「扉を私の作品が開いたのは事実だと思います」と竹宮さんは認める。そして、以前はないに等しかったものが今や、女性や子供の福祉を脅かしかねないと国連がみなすものまでに発展してきた。
「パンドラの箱を私が開けたのかもしれない。けれども箱を開けなくては、希望の光は出てこられなかったのです」と竹宮さんは話す。
日本の漫画における性表現は本当に性暴力を助長するものなのか。物語の中で描いて伝えていかなければ、黙殺されて明るみにならない真実もあるのではないだろうか。それによって多くの人の意識が変わり、不幸な出来事も未然に防ぐことができるかもしれないという可能性も考えなければならない。