クヌルプ ヘルマンヘッセ

ヘッセの中でも、特に美しい作品だ。

定職につかず、放浪して、人を傷つけた記憶の中、最後に神との対話を通して、「それも含めて全て良かったのだ」という結論に達する主人公。

赦される、という主題があり、そこが雪の中の描写と合わせて大変美しいのだ。

型にはまらない生き方、死に方。それはとても怖い事ではあるけれど、それもアリなんだと語っている様だ。

序章で人生を謳歌しながらも人を信じられなくなり、2章ではより自由奔放に、最終章では静かに死と向かい合う、
一連の流れが誌的で素晴らしい。

これが「車輪の下」だと、主人公のハンスが疲れ果てて悲しい死を迎えていたり、どこか寒々とした描写となっていて、「荒野の狼」だと完全に精神世界に行ってしまっている。

そういった意味でも、クヌルプにはどこか大らかな雰囲気が漂っている。

東京物語 奥田英朗

6編からなる、作者の自伝的小説。

これが面白い。時系列が、フレッシュな社会人生活から始まり、上京~大学時代~社会人として少し慣れてきた頃~とある休日~独立した後と、少しひねっているところが良い。

当時の歴史を辿る様なアーティスト、事件、社会情勢などなど、エピソードと絶妙に絡み、同世代を生きていなくても当時を知る上でも非常に興味深い。

http://www.seashorelines.com/